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ファクタリングはインボイス制度でどう変わる?適格請求書の影響

著者: ファクセル編集部

インボイス制度とファクタリングの基本関係

2023年10月1日に始まったインボイス制度(適格請求書等保存方式)は、消費税の仕入税額控除のルールを大きく変えました。資金繰り手段としてファクタリングを利用している事業者からは「売掛債権の譲渡に影響はあるのか」「適格請求書がないと買い取ってもらえないのか」といった疑問が寄せられています。結論から言えば、ファクタリング契約そのものが制度開始で禁止・変更されたわけではありません。ただし、実務面ではいくつかの留意点が生まれています。

インボイス制度の概要をおさらい

インボイス制度とは、売り手が買い手に対して、適用税率や消費税額などを正確に伝えるために発行する「適格請求書」を保存する仕組みです。発行できるのは税務署に登録した「適格請求書発行事業者」のみで、登録番号は「T+13桁の数字」で表されます。買い手側は、適格請求書の保存がなければ原則として仕入税額控除を受けられません。免税事業者など登録していない事業者からの仕入については、2029年9月までの経過措置として一定割合の控除が認められていますが、控除割合は段階的に縮小される予定です。

ファクタリングは消費税の対象外取引

前提として押さえておきたいのは、ファクタリングによる売掛債権の譲渡そのものは「金銭債権の譲渡」にあたり、消費税法上は非課税取引とされている点です。つまりファクタリング手数料に消費税は課されません。一方で、譲渡される売掛金の中には、もともと商品やサービス提供にかかった消費税相当額が含まれています。ここがインボイス制度との接点になります。

インボイス制度がファクタリングに与える主な影響

ファクタリング会社が買い取るのは、あくまで売り手と売掛先(取引先)の間に発生した売掛債権です。この債権の元となる取引が、インボイス制度上どう扱われるかによって、買取審査や必要書類に違いが出てきます。

売掛先がインボイス未登録のケース

売掛先が適格請求書発行事業者として登録していない場合、その取引先に商品・サービスを提供している自社(売り手)側で直ちに不利益が生じるわけではありません。ただし、売掛先がインボイス制度に対応していない事業者ばかりだと、ファクタリング会社が「取引先の事業規模や継続性に不安がある」と判断するケースは想定されます。買取審査は基本的に売掛先の信用力を重視するため、取引先の事業実態を示す資料の重要性が増しています。

自社(利用者)がインボイス未登録のケース

自社がインボイス未登録の場合、売掛先からすると仕入税額控除が制限されるため、取引価格の見直しを打診される可能性があります。これにより売上金額そのものが下振れすれば、譲渡できる売掛債権の金額にも影響します。ファクタリングを継続的に活用したい事業者にとっては、自社の登録有無を含めた価格交渉の方針を整理しておくことが重要です。

必要書類への影響

ファクタリング契約時には、請求書・発注書・基本契約書・入金履歴などの提出を求められるのが一般的です。インボイス制度開始後は、提出する請求書が適格請求書の要件(登録番号、適用税率、税率ごとに区分した消費税額など)を満たしているかをチェックするファクタリング会社が増えています。書式が古いままだと、追加の説明や差し替えを求められることがあるため、請求書フォーマット自体を最新の要件に合わせて整えておく必要があります。

2社間・3社間ファクタリングそれぞれの注意点

ファクタリングには、利用者とファクタリング会社の2社で契約する「2社間ファクタリング」と、売掛先を含めた3社で契約する「3社間ファクタリング」があります。インボイス制度との関係でも、それぞれ気をつけたいポイントが異なります。

2社間ファクタリングの場合

2社間方式では、売掛先に債権譲渡を通知しないため、取引先のインボイス登録状況やインボイス対応の進捗を確認する機会が限られます。一方でファクタリング会社は、提出された請求書や入金履歴から取引の実在性を確認します。請求書のフォーマットが旧式のままだと、取引の信ぴょう性を疑われ、買取金額や手数料条件が厳しくなる可能性があります。

3社間ファクタリングの場合

3社間方式では、売掛先に債権譲渡の承諾を得る必要があります。売掛先がインボイス制度への対応に追われている時期は、譲渡承諾の事務処理に時間がかかるケースもあります。さらに、譲渡後の入金経路が変わることで、売掛先の経理側で仕入計上や支払処理のフローを確認し直す必要が生じる場合があります。スケジュールに余裕を持って打診することが望ましいといえます。

ファクタリングを利用する事業者が取るべき対応

インボイス制度はファクタリングを禁止するものではありませんが、書類精度と取引情報の透明性がこれまで以上に求められる方向にあります。

取引先のインボイス登録状況を確認する

主要な売掛先について、適格請求書発行事業者として登録しているかを把握しておくと、買取審査時の説明がスムーズになります。国税庁の公表サイトで登録番号の有効性を確認できます。

適格請求書の保存体制を整える

請求書のフォーマット更新だけでなく、控えの保存方法(紙・電子)も併せて整備します。電子帳簿保存法の要件と合わせて運用ルールを決めておくと、ファクタリング会社からの追加資料依頼にも迅速に応じられます。

経過措置期間中の判断ポイント

免税事業者からの仕入に対する経過措置は段階的に縮小されます。売掛先との価格交渉や、自社の課税事業者化の判断は、目先のファクタリング条件だけでなく、中長期の資金繰りやコスト構造を踏まえて検討することが大切です。判断に迷う場合は、税理士など専門家への相談を検討してください。

まとめ:インボイス時代のファクタリングは「請求書の質」が問われる

インボイス制度は、ファクタリング契約そのものを大きく変えるものではありません。しかし、取引の根拠資料である請求書の要件が厳格化されたことで、ファクタリング会社が確認する書類の精度は確実に高まっています。利用者側に求められるのは、適格請求書の発行・保存体制を整え、取引先の登録状況も把握しておくことです。制度対応を後回しにせず、日常の請求業務の延長としてアップデートしておくことが、安定したファクタリング活用につながります。

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